げんじつ④
- 2012/04/09 13:11
- Category: 物語
飛んだ先は運命の玉座。
リアルは珍しくスピードレーサーを着ているサダメの胸ぐらを掴む。が、実際のところピチピチすぎて掴めなかったので代わりに頬をはたいてやった。綺麗な音と共にサダメの顔は右を向いた。
「オォー」と思わず拍手をするピースとウォー。平和も戦争も笑いは分かっているらしい。
「どうすればいいんだ?」
サダメは聞きながら顔を右から正面へゆっくりとスライドさせていく。
「どうしたんだ。いきなり」
右手のフェイントを入れ、間髪入れず左手ではたく。
またもや湧く歓声。
「オレはどうすればいいんだ、サダメさんよぉ」
ここに来てリアル心情は限界値を振り切れていた。高みの見物なんて許さない。
「お前の思ったとおりにやればいいんだ」
「思ったとおり?」リアルの眉根はピクリと動き「じゃあ何も考えなくてもいいんだな」と続ける。
「ああ。というより今までだって大して考えて行動してなかったろう」
サダメがこのセリフを全部言い切る前にリアルはみぞおちに固い拳をめりこませていた。
「こちとらなかなか多くの場面で気利かせていたんだよ。もう何も考えない、鮭のことしか考えない」
うずくまるサダメの頭上から吐き捨てるように言ってやった。
リアルは蟹と白菜と鍋を地面に置き、首から足首までならしていった。
一通り準備運動を終え、行くぞとサダメを振り返ると先ほどまでうずくまっていたはずのスペースから消えていた。右手で頬杖をつき、余裕な顔つきでサダメは玉座に座っている。
運命はこれだから嫌いだ。
「ずんだ餅は持っていきなよ」とサダメは言う。
「犬 キジ 猿でも仲間にするっていうのか」
「きび団子とは区別してくれよ」皮肉めいた笑い声が響く。
「……知るか!」とリアルは吐き捨て、三人で飛んだ。
ずんだ餅はウォーに持たせた。
スタと両足をついた。
現実に戻ってきたという感覚。
よし、これから鮭を探しに行くぞ、と気合と共に面を上げると見るからに怪しい男。
しかしリアルは彼を知っている。
「あれ?小島くん?」
ここがどこだか分からない。見たことある気もする。小島くんは小島くんで携帯電話を便器に落としたり、そのまま水を流しちゃったり忙しなく動いている。
ピースとウォーの姿も見当たらない。
運命はどこに向かっているのだろうか。
さっきサダメを殴ったときは気持ちよかったが、こんなことになるならもっと入れておけばよかった、という後悔と発散したはずのストレスが返ってくるのをリアルは感じていた。
リアルは珍しくスピードレーサーを着ているサダメの胸ぐらを掴む。が、実際のところピチピチすぎて掴めなかったので代わりに頬をはたいてやった。綺麗な音と共にサダメの顔は右を向いた。
「オォー」と思わず拍手をするピースとウォー。平和も戦争も笑いは分かっているらしい。
「どうすればいいんだ?」
サダメは聞きながら顔を右から正面へゆっくりとスライドさせていく。
「どうしたんだ。いきなり」
右手のフェイントを入れ、間髪入れず左手ではたく。
またもや湧く歓声。
「オレはどうすればいいんだ、サダメさんよぉ」
ここに来てリアル心情は限界値を振り切れていた。高みの見物なんて許さない。
「お前の思ったとおりにやればいいんだ」
「思ったとおり?」リアルの眉根はピクリと動き「じゃあ何も考えなくてもいいんだな」と続ける。
「ああ。というより今までだって大して考えて行動してなかったろう」
サダメがこのセリフを全部言い切る前にリアルはみぞおちに固い拳をめりこませていた。
「こちとらなかなか多くの場面で気利かせていたんだよ。もう何も考えない、鮭のことしか考えない」
うずくまるサダメの頭上から吐き捨てるように言ってやった。
リアルは蟹と白菜と鍋を地面に置き、首から足首までならしていった。
一通り準備運動を終え、行くぞとサダメを振り返ると先ほどまでうずくまっていたはずのスペースから消えていた。右手で頬杖をつき、余裕な顔つきでサダメは玉座に座っている。
運命はこれだから嫌いだ。
「ずんだ餅は持っていきなよ」とサダメは言う。
「犬 キジ 猿でも仲間にするっていうのか」
「きび団子とは区別してくれよ」皮肉めいた笑い声が響く。
「……知るか!」とリアルは吐き捨て、三人で飛んだ。
ずんだ餅はウォーに持たせた。
スタと両足をついた。
現実に戻ってきたという感覚。
よし、これから鮭を探しに行くぞ、と気合と共に面を上げると見るからに怪しい男。
しかしリアルは彼を知っている。
「あれ?小島くん?」
ここがどこだか分からない。見たことある気もする。小島くんは小島くんで携帯電話を便器に落としたり、そのまま水を流しちゃったり忙しなく動いている。
ピースとウォーの姿も見当たらない。
運命はどこに向かっているのだろうか。
さっきサダメを殴ったときは気持ちよかったが、こんなことになるならもっと入れておけばよかった、という後悔と発散したはずのストレスが返ってくるのをリアルは感じていた。
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