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旅するアンニュイ⑦

  • 2013/01/30 23:15
  • Category: 物語
 「だから、時間差で自然に関心しちゃったんじゃないですかね」
 「はは、自分のことなのに投げやりですね」
 「自分のことだからって、全部分かっているわけじゃないみたいです。他の人がどうだかは知りませんけどね」
 「私も全然自分のことは分かりませんよ。今日知ったこともあります」
 「それは?」
 掘り下げられるとは思っておらず、水島は少しの間答えに窮した。頭の中で色々と言葉にして組み立ててみる。
 「私は他人と自分が決して交わることがないと思っていた。そんな節がありました。けど、そんな自分は他人を必要としていて、今までは恩恵に気付いていなかったみたいです」
 言葉にしてみると自分の中でもすっと納得できた。なるほどそういうことだったのか、と水島は自分に対する理解を深めた。
またもや白木は笑う。
 「な、何かおかしなこと言いましたか?」
 「いや、僕は自然の恩恵を忘れていて、水島さんは人間の恩恵を忘れていたのですね」
 「ああ。何かオシャレですね」
 「オシャレ、ですね」
 バスはようやく畑群を抜け、道らしい道に出た。水島が次に目指していた場所は近い。
 行き着いた先が白木にも分かったかもしれない。音はもうすぐそこまで来ている。バスを停めた水島は白木にバスから出るよう促して地面に降り立った。
 「どこに着いたか分かります?」
 白木はキョロキョロと辺りを窺い、思案顔をするが「分かりません」と答える。
 水島の耳にはもう届いていた。轟音とは言えなくとも、健気な水の音が聞こえてくる。
 バスを停め、二人は降りる。水しぶきがこちらまで届いてくるようで、辺りは心なしか涼しく感じられる。今二人が立っている場所から右手に見える木製の階段を上っていけば、水島が見せたかったものが姿を現してくるはずである。
 「行きましょうか」
 水島は階段を指差し、白木を誘った。
 「え?何ですか?」
 水の音が水島を遮ったのだろう。そう思い込み、水島は大きな声で白木に言う。
 「滝があるんですよ。行きましょう」
 時間が止まったのかもしれない。それにしては白木の表情が固まらない。
 さっきまで笑っていたじゃないか、と水島は思う。笑っていたのに、時間が止まるとなぜ茫然とするのか。白木の瞳はどこを見ているのだろうか。焦点はどこに合わせているのか。
 どれくらいそうしていたのかは分からない。水島の体感ではかなり長く感じられた。
 「滝ですか」取り繕うように白木はまた笑いだす。そうして「いいですね」と続けるが、水島にはその笑みが本物には見えなくなっていた。これは、先ほどの白木の茫然とした表情を見てしまったから、というだけではない気がする。水島が彼と過ごした短い間で、彼は初めて繕ったように思えた。しかし、それも水島の願望にすぎないのかもしれない。
 「じゃあ、行こうか」
 やや遅れて水島がそれだけ言うと、白木は横につき、同じ歩調で歩く。
 水島は動揺していた。とんだ失言をしてしまったのかもしれない、と自身の発言を振り返る。そんな失礼なことはなかったように思えたが、相手にとっては気分を害する言葉だったのかもしれない。
 階段を上っていると、ナメクジや蛙が多くいることに気付く。
 「やっぱり水のあるところにはナメクジとか蛙っているんですね」
 白木にはその動揺を悟られたくなかったので、普段を装って水島は応じた。
 「都会ではそんな恩恵もないのかい?」
 「ナメクジや蛙に恩恵なんてありますかね」
 「あるよ。ナメクジはミミズのように土を柔らかくするとかで、蛙はハエとかを食べてくれる」
 「へえ」
 「まあ、よく覚えてないけど。どんな生物にも存在意義ってのがあるみたいだよ」
 「どんな生物にも」
 白木は考え込むように地面を見つめる。水島は軽口を叩く。
 「私にも、もちろん白木くんにもあるものだよ」
 「僕にも、ありますかね」
 顔は笑っている。笑っているが何かに引っかかっているかのようなそんな表情だ。
 「あるよ」
 「分かりますか?」
 「私に大切なことを教えてくれた。ほら、さっき言ったでしょう。今日知ったこともありますって」
 「あの、人間の恩恵の」
 いい笑顔で白木は声を発する。その笑顔だけでも水島を幸せにさせ、十分存在意義はあると思う。
 「そう。それを知れたのは白木くんに会って、こうして会社のバスで旅ができているからだよ」
 「それはもう」そこで白木はわざと区切り、表情を作る。冗談であることの意思表示であるかのようだった。「存在意義がありますね」
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旅するアンニュイ⑥

  • 2013/01/30 23:14
  • Category: 物語
 次の目的地も考えずに本当に適当に走っている最中、白木くんに聞いた話によると、彼は三日前の夜、町にたどり着いたようであった。三日前というと、丁度アンニュイだかなんだかが生物に伝播された日である。おそらく、彼が活動を開始してから間もなく人々はいなくなったのだろう。
 こんな状況では偶然探し人に会うなど無理ではないかと思ったが、水島はあえてそれを口にすることはなかった。
 先ほどの和製カースタントを味わった細い道とカーブを戻ることはせず、というよりも出来ず、バスは地蔵を通り過ぎ大きな道に出ていた。
 左も右も畑、もしくは田圃。延々と続く同じような道は見ていて飽きない。もちろん散々こんな風景を味わってきた田舎者による上品な皮肉である。
 不等間隔といえばいいのか、その道にバス停はあるが、間があきすぎていたり、狭すぎたりとおかしなことになっている。市長がこの区域を手放しにしすぎたのが原因かもしれないが、それに付け込んだ住民も悪かった。
正式に申請すればかつての市長はバス停を置く許可を出し、足が膝が、と老体に鎌をかけて自宅前にバス停を置きたがる住民が増えた結果がこの理不尽なルートだ。舗装されていないような道を走らされ、時には完全に人がいなくなったような家の前まで出向かなければならない。誰にご苦労様と言われても達成感など出るはずもない。
 今はもうそんなことはなくなった。どんなに体調が悪かろうと申請書に市長の判子が押されることはない。そのままルート改正も行うのが必然であろうが、水島の働くバス会社はそうはしなかった。
 「信用にかかわる。そんなにころころとルート変更がなるものか」
 偉いさんは威厳たっぷりにそう言うが、その威厳をダメ市長にも出してほしかった。
 その名残で今でも、今だから変なルートを走らされている。これからまた少しすれば徐々に道順は変貌を遂げていくだろう。そうでなくては困る、というものだ。
 それについて水島に文句はなかった。
 やれと言われればやるし、やるなと言われればやらない。上司に口出しして変わるとも思えなかった。抗議はすべて若い連中、同僚に任せ、一人バスを走らせた。
 一週間ほど前から始まった一斉ストライキ。まるで人のいないバス会社に赴き、通常通り運行していたのは水島だけであった。
若い連中の意気込む姿に、そんなにいいものなのかと突き動かされ、途中の二日間は気まぐれでそのストに参加した。が、生活リズムが変わるくせに日常とてんで変わりがないことに水島はがっくりし、次の日、いわば今日一人でバスを走らせてみた。そっちの方が楽しそうであったし、今実際に楽しい。
 普通であるなら水島のような人間は生活体から爪はじきにされ、大変居心地の悪い思いをするであろう。しかし、この田舎町にしてみればそちらの方が異常であるのだ。
 周りにいる人間が大事、と思うこの町の習慣は、立地、いうなれば山に囲まれた地形に起因している。山に囲まれ、ほぼ隔絶されている町では自然と仲間意識が強くなる。
 だから、水島にとって人と接するというのは当たり前であり、優しさも当然なのである。少しばかり煩わしいとさえ思っていても、生活に支障はなかった。ストライキに一人だけ参加しなくとも、周りは温かくはなくとも、少なくとも冷たい目は向けない。
 しかし、たった一回名前を呼んで返答がなかっただけで、水島はうろたえ、不安を抱いた。今朝、駅員の兆司を呼んだときがそれである。
 あの時、いつものように声をかけ、時間をかけずに兆司の小さな怒声が響くものだと思っていたし、水島はそう身構えていた。しかし、あたりは沈黙を破らずにただただ静けさを保っている。
 もしかしたら、私は人間が必要なのではないだろうか。
 水島は五十を目前にして、そんな大事なことを知った。
 「綺麗な自然です」
 何の変哲もない、飽き飽きしてきた畑や田圃を眺めていた白木はそう口にした。なぜ同じような道を走り始めてから十分ほど経ってそんなことを言い始めたのか分からず、水島はそのままの質問をしてみた。
 「どうして急にそんなこと言うんですか?」
 「急に?」
 そこに引っかかった白木に対し、水島は自分がおかしなことを言ったような気にさせられていた。それほどまでに自然な調子であった。
 「いや、だって、ねぇ」
 一応は運転中なので水島は白木のことを振り返ることができない。チラチラと視線を送ることしかできず、白木くんの様子を完全にとらえることはできなかった。
 白木はやっとああ、という納得した表情になり、笑みを浮かべる。水島からは、そんな雰囲気しかつかめないが笑っていたように思う。
 「確かに急ですよね。僕はスローペースな人間なんですよ」
 スローペースというのは何となく分かる気がした。小さな声や、常に笑っている姿からの、ただの推測であるのだが。
 「ああ、そうですか」と水島は納得したフリをする。
 「納得しました?」と白木が訊ねてきたときには少しドキリとした。
 「納得は」その後どう続けようか迷い、思いのままを出そうと「していませんね」と言う。
 白木はまたも小さく笑う。
 「ですよね。別におかしいこともないのですが、都会に住んでいると自然の恩恵ってものを忘れてしまうのですよ」
 「そういうものですか」
 生まれてこの方、水島は他の町に住んだことがない。なので、白木の放った言葉に共感はできなかったが、何となく予想することはできた。そういうものなのだろう、と。

旅するアンニュイ⑤

  • 2013/01/26 16:12
  • Category: 物語
 予期せぬ言葉に水島は驚いた。
 「え、わかっちゃうの?」
 間の抜けた声だっただろう。
 それ以上は何も言わず、青年はただただ地蔵に手を合わせていたので、水島もつられて手を合わせていた。割に長い間そうしていたが、青年が手を太ももに乗せて目を開いたところで水島は立ち上がった。
 青年の地蔵を見つめる瞳は、今までとは違い、悲しみを帯びていたような気がした。
 「願い、かないますかね」
 どこから声を出したのか、青年はポツリと呟くように問いかけた。
 「かなうんじゃないですかね。間接的に」
 一瞬間目を細め、何かを確認するかのように一つ頷くとまた笑い出した。
 「素直じゃないですね、この地蔵様は」
 「まあでも、間接的にでも救ってくれるのは、やっぱりいい地蔵なんじゃないですか」
 それから二人はどちらからともなく立ち上がり、バスに戻っていた。
 水島は運転席に、青年は一番前の座席に。
 「そういえば、お名前はなんていうんですか」
 「本当にタクシーみたいですね」
 「あ、嫌でしたら大丈夫です」
 「嫌ではありませんよ。白木です」
 「へえ、白木くんですか。どこかのお金持ちみたいですね」
 「名前の響きだけですよ。そんなに上品な家庭でもありませんでした。運転手さんのお名前は」
 「水島です」
 「水島さん」
 そこでふと、白木は思案顔で宙に何かを探し求めるような顔をした。
「そうですか、ちょっと劇的なことを期待したのですけどね」
 「劇的なこと、とは。同じ名前だったら、とかですか」
 この場面でどうやったら劇的な展開になるのか分からなかった。
 「名前のついでに僕のことも話しておきますね。僕がここに来たのは、ある人間を訪ねに来たのですよ」
 「ああ、知り合いですか?小さい町ですからね、知っているかもしれません。そこまで送りましょうか?」
 「いや、ここに住んでいるかさえ不確かな情報ですから。それに、偶然という形で会いたいんですよ」
 わざわざ偶然を装うのには何か理由があるのだろう。人にはそれぞれ内に秘めている事情というものがある。
 「会えれば吉、会えなければ凶。そんな単純なものではなくてですね、僕にとってどっちが吉なのか分からないんですよ。困ったことに。だから何日かプラプラと町を歩いて、その間にどうかなれば、それも運命なのだと思えますからね」
 ようするに運任せということであった。
 「劇的なことっていうのは、私が、探しているまさにその人だったのではないか、ということですか」
 水島は自分の過去を思い起こす。王道の展開からすると、この先彼の探し人は実は水島であり、今は何かしらの、例えば苗字が変わったとか何とかで気付かないだけとなる可能性が高い。しかし、水島には女性に関する遍歴が著しく少なく、万が一にも隠し子が探しに来るという展開は考えられなかった。
 「なので、水島さんに探し人の名前を告げて連れて行ってもらうのは違うと思うのです」
 なるほど、そういうことなら。
 「じゃあ、この先も適当に進んでいいですか」
 「ええ。よろしくお願いします」
 二人だけのバスの旅はまだ続く。
 水島は再度バスを走らせた。

旅するアンニュイ④

  • 2013/01/26 16:11
  • Category: 物語
 あからさまに大型バスが通るべきでない道というものはある。まずもって狭い。標識が法の効力を持ってバスの行方を阻む。
 バスが走り出して幾分もせずに目の前に現れた道は、そんな道徳に反したものであった。
 「もしかしてここを通るのですか」
 その言葉の響きは軽やかで、とても怒っているような雰囲気は持ち合わせていなかったが、水島は相手の気持ちを量りかねた。こんなに危険そうな道をいきなり通ると言われ、なすすべのない同乗者はどう思うのだろうか。水島はそんな青年の横顔を盗み見た。
 瞳を輝かせ、水島が盗み見ていることなど気付いていないようだ。その様子は水島を和ませた。
 「通ります」
 それが当然であるかのように言ってみた。もちろん水島はそんな当然なことだとは思っていない。
 アクセルを踏み、左右の壁に触れないように慎重にバスを走らせる。格好つけてみたのはいいものの、思ったよりも地味な画になってしまい水島は少し焦った。何故か急にエンターテイナー気質が顔を現した。
 「つかまってください」
 「え?」
 内側から沸々と燃え上がる何かを感じつつ、青年の返事を待たずにアクセルをさらに踏んだ。
 車は左右の壁のギリギリを進み、カーブにさしかかる。走ってみて気づいたが、この道は恐ろしく凸凹としていて、つかまれと促したのは正解だったようだ。普通の車であれば余裕で曲がり切れるかもしれないが、現在運転しているのは大型バスである。一歩間違えれば横転。シートベルトもしていない青年がどうなるのかは想像しただけで痛々しく思える。
 しかし、水島は止まらない。
 ぬおー、だの、ふぬー、だの大声を出していかにも気合という具合にカーブを曲がり切ってみせた。ただ、そこまで無茶する意味があったのかどうかは考えてほしくない。
 一仕事終えたかのように車を止めた先にあったのは小さなお地蔵であった。
 気付けば呼吸をしていなかったようで、水島は息を切らしていた。それよりも隣の青年はどうなっているのだろうか。それが気がかりであり、ハアハア言いながらも青年を振り返った。決して変態ではないので悪しからず。
お客だからという理由だけでなく、何となく車内からいなくなってほしくなかった。
 例のように青年は笑っていた。
 「面白いですね。ここに来てこんな体験できるとは思っていませんでしたよ」
 その表情、口調に安堵しつつも水島は言う。
 「自分でもびっくりです。何でこんなことしたのか、分かりません」
 「え?いつもやってるのではないんですか?」
 「やっているわけないでしょう。そんなことしたら瞬時に首がはねますよ」
 「じゃあ、今日は特別に」
 「そうですねぇ、何故か特別に、ですね」
 「その何故か、は聞いていいのですかね」
 「何故か、ですか。というよりも私はこんなやんちゃするような人間でも、器でもありませんからね。人生で背伸びしたのは煙草ぐらいのものですし、何の変哲もないつまらない一生でしたから。五十を手前にして何かしたくなったのかもしれませんね」
 「いつもはしないんですか」
 危険な走行、のことではなく、彼が言いたいのはやんちゃのことなのだろう。
 「色々と、怖いんですよ」
 「色々」
 「ええ」
 なんだか気まずいような沈黙が流れ、それを打ち消すかのように青年は言った。
 「でも、先ほどのつかまってくださいっていうの、恰好よかったですよ。なんかこう、映画みたいでした」
 その言葉にはドキリとした。映画みたい。あのアメリカ映画とは違うだろうが、水島を熱くさせるような響きを帯びていた。それで熱くなったからなのか、興奮してなのか水島は帽子を脱いだ。
 「いいですね。楽しいですよ」
 笑いながら青年は言う。本当にずっと笑っているな、と水島は思う。
 「そう言ってもらえると、嬉しいです。ちょっとここで降りましょうか」
 「ここで降りるのですか」
 そう言いながらも、先に降りた水島の後を追うように青年も地面に足をつけた。
 水島がバスから離れ、歩き始めてから間もなく、小さな石の祠のようなものが見えてきた。
 「この地蔵をみてほしかったのです」
 そう言って水島が指差した地蔵は、いかにも古ぼけていて、肩には鳥のフンをこびりつけている。
 「何かあるんですか、この地蔵には」
 何か特別なものがあるとは思えないから青年は聞いた。
 「観光名所なんかにはなりませんけどね、このお地蔵様にお参りをすると間接的にいいことが起こるんですよ」
 「間接的に、というのはなぜですかね」
 ごもっともな意見である。
 「さあ、分かりませんけど、いつの間にかそんな噂が立っていたものでして」
 「運転手さんは来たことないんですか。その、他人事のような言葉づかいですから」
 何か事情でもあると踏んだのだろうか、青年はスマイルを増やす。
 「ええ。恥ずかしながらお初です。単純に興味がなかったんですよ、人やその周りを埋める噂話にも」
 バス以外の車にはあまり乗らないし、こんなけもの道をバスで通れるのは今くらいなものだ。
 「……」
 もしかしたら変なことを言ってしまったかもしれない。
 初対面の人にこんなことを話すのはよくなかっただろうか。そう理解するのが早くても水島はいつかは話していたような、そんな根拠のないなんとなくの予想をする。要は自己弁護を何となくのせいにしたわけだ。
 「分かります」

旅するアンニュイ③

  • 2013/01/26 16:07
  • Category: 物語
 細い声で話しかけてきた青年は一番前の座席に座っており、入る時に気付かなかったのは失礼だったろう、と水島は反省した。
 「え、ええ。通常運行です」
 さっきまで思い描いていた道を書き換えた。が、動転していた水島には本来どのような道を進んでバスを走らせるべきなのか分からなくなっていた。
 「そうですか」心底よかったという風に青年は表情をさらに柔らかくする。「何でか電車も動かないんですよね、びっくりしました」
 「ああ、私もびっくりしました」
 「ああ、運転手さんもですか」
 そう言って青年は笑った。柔和な顔つきだと思ったが、笑うと一段と際立ち、優しさを思わせる。それにしても水島が運転手さんと呼ばれたのは久しぶりだった。皆名前を知っているものだから水島、もしくは水島さんとしか呼ばれない。まだ運転手と呼ばれていた新鮮だったあの頃を思い出す。
 水島が感慨にふけっていると、青年はまたもや声をかけてくる。
 「あの、このバスはどこまで行くのでしょうか」
 「え、ああ。このバスは……」
 水島は運行ダイヤ表を慌てて見るが、今がどこなのか完全に見失っていた。
 「……。どこに行きます?」
 水島は臆面もなくそう聞いていた。それがさも当然のことのように。
 「え?」
 そりゃあそうか。バスの運転手が行先を聞くのはおかしい。
 「この辺の人じゃないんでしょう。行きたいところがあれば連れて行きますよ」
 先ほどよりもおかしい。しかし、現状を知った水島は、一人でも、動いている目の前の青年の望むところにバスを走らせるのが得策な気がした。今までの慣習に倣った道順など、もはや意味をなしていないのだ。
 青年はまた笑い、「タクシーみたいですね」と楽しそうに喋る。
 それにつられるように水島も「大きいタクシーだとでも思ってください」と軽口をたたく。
 「そうですか。でも、僕に行きたいところなんてないんです」
 「何か訳ありですか」
 「まあ、そんなようなところです」
 今まで人と接することは自然なことであり、別にしなくてもよいことだと思っていたが、どうやらそれは間違いのようだ。水島はこの状況になって初めて気付いた。
 「じゃあ、旅でもしましょうか」
 「旅、ですか」
 「ええ。一度してみたかったんです。このバスで私的な旅ってやつを」
 「大丈夫ですか、そんなことをして」
 「気にしないでください。大人が子供になりたいって思うようなものですから」
 叱られるようなことはしてみたい。いかにも子供のような発想であるが、そう自覚できるのが大人なのだろう。
 「何となくその気持ち分かります」
 「そ、そうですか?でもまだまだお若いでしょう。そんな気持ちにはならなそうですけどね」
 「そんなことありませんよ。若くても大人は大人です。子供に戻りたいって気持ちもありますよ」
 「そうですか」
 電車で少し行ったところにある壊れかけた映画館で見たあのアメリカ映画がよみがえる。
 あの時の自分は目の前の青年と同い年くらいであり、それでいて青春に憧れていたではないか。
 「そうですよね。じゃあ、行きますか」
 キーをひねり、エンジンをふかす。
 「どこに行くのですか?」
 「適当です」
 青年はまたも笑う。いい笑顔だ。
 「適当、ですか」
 「たまにはいいものですよ、当てのないっていうのも」
 そう言って水島はいきなり路線から外れるような道に向けてハンドルを切った。
 少年のように楽しそうな笑顔を貼り付けて。

旅するアンニュイ②

  • 2013/01/26 16:05
  • Category: 物語
 異様な事態において、砂嵐のような規則性をもっているようで不規則な音は怖い。まるでそこに人間ではない生き物が潜んでいるかのように思えてしまう。
 恐る恐るというように慎重に歩みを進め、音のする方角に耳を澄ませる。
 どうやら駅員室から聞こえてくるようだ。荘厳な造りのドアの割に小さな駅員室を思い浮かべ、水島は息をのんだ。兆司が戻ってきたのだろうか。
 そろりとドアを開け、顔だけを中に入れてキョロキョロと室内を窺う。どうやら血まみれの死体も、不可思議な恰好をした犯罪者もいないようだった。
 安全を知ると人は自然と勇み足になるようで、水島は途中からスタンドバイミーを歌い始めた。
 その砂嵐の音源を探し求め、小型のラジオに手をかけた。兆司の私物である。
 つけっぱなしでどこかに出かけたのだろう。無責任な男だ、と自分のことは棚に上げてそんなことを思った。しかし、やはり不可解なことがある。
 この町は様々なことが遅れているし、現に一昨日の朝刊が置かれていたのだが、電波だけは良好なのだ。若者の楽しみはテレビかラジオくらいのもので、後の娯楽は電車で遠くまで出向かなければならない。
 そんなこの町で、電波が通らないことなんてありえないことなのだが、このラジオはこれしか喋れないのだとばかりにザーッと言う。
 もしかしたらチャンネルがおかしいのかもしれないと思い、水島は焦りつつもチャンネルを変えていく。どの局もちょうど何もやっていないのだろう、という無理やりな解釈がかなうはずもなく、水島は鳥肌を感じた。
 どういうことだ。まったく意味が分からない。
 その中で一つだけ音を拾えるチャンネルが合った。
 かすれながらも人が何かを話している様が聞こえてくる。
 「世界の人類、いやそれだけでなく動物もどうやらアンニュイを感じているようです。今動いている君。どうかこの電波塔まで来てくれたまえ」
 「何を言ってるのかわからないな、こいつは」
 独り言をラジオに向かってする。そんなことでも少しは気分が落ち着いてくる。
 「私の研究の結果、動物園のナマケモノが憤然とやる気を出したことから推測するに、アンニュイを携えている生き物はこの事態でも動けるそうだ。今は様々な機関がストップしている。政府も警察も新聞社も止まっている」
 新聞社。もしかして、一昨日の新聞が置かれていたのは。そんなことは有り得ないと自身の考えを打ち消す。
 「有り得ないことが今起こっているのだ」
 もしかしてこの人は自分をはめようとしているのではないかと思ったがそれこそ有り得ないことだと思い直す。それにしても水島と会話しているかのような、絶妙なタイミングでラジオの人は声を出したので驚いた。
 「どうか来てくれ。俺の元に」
 それで放送は一区切りしたらしく、リピートするようにまた初めから同じ内容の放送をし始めた。
 アンニュイを感じている。世界の人々が一様にアンニュイに侵されている、そんなようなことをラジオは言っていた。駅員室から飛び出し、先ほどの朝刊を再度手に取る。売店に積まれた他の新聞も見てみるが、すべて同じものだった。
 このことは水島を少なからず動揺させた。この事態というよりも、この事態に気付かずに今日まで過ごしてきた自分に対して一番驚いた。
 周りのことは気にしないできたが、こんな事態にまで気付けないとはとんだ阿呆である。
 もつれる足でバス停まで歩いたが、その前にあるベンチにどっかりと腰かけ、胸元からライターと煙草を出して、火をつけた。
 息と煙を肺から吐き出す。
 背伸びするためだけに始めた煙草が、いつしか日常になって体を蝕んでいる。
 大人になりたいのか子供になりたいのか、正直分からなくなっていた。自分というものが分からない。
 今回はそれを再度突きつけられたようで、嫌な気分にさせられた。
 色々な人と接していたいのか、それとも違うのか。分からない。
 こういった誰もいないという状況になると無性に人が恋しくなる。それが本心からなのか、自身の寂しさを紛らわせたいだけなのか。
 水島はゆっくりと一本の煙草を灰にした。
 もう誰もいないのだから、とバスに乗りながらも帰路を思い描いていた。
 運転席につき、肩を回していると不意に何かが声をかけてきた。
 びっくりしてそちらを見やると、確かに存在感の薄い柔和な表情を持った青年が座っていた。
 「このバスは運行しますかね」

旅するアンニュイ①

  • 2013/01/26 16:03
  • Category: 物語
 初めは異変に気付かなかった。
 自分以外に人など見当たらないのが常であるからだ。そして町の放送もここまでは聞こえにくい。何よりも遠く、水島の耳に届くころには空気に溶けかけていて、鼓膜を震わせるのには不十分だ。
 だから気付かなかった。
二日間だけ気まぐれでストに参加したから、というのもあるが。私はストに参加し、今日また気まぐれでバスを運行する。
ここ数日のいつものように、誰もいない会社に出勤して、運行ダイヤを確認する。といっても、運行ダイヤなんてあってないようなもの。煙草をくわえながら一応は見るというだけで済ませる。そうして一人で点呼をして煙草を靴で踏みつぶしてからバスのエンジンをかける。人がいないからなのか、水島の声がよく通るからなのか点呼が町の山中にこだまする。出庫とともにサイドミラーを確認するが、無論いつも通りに誰もいない。バスを走らせている間に感じたことなど、やけにスムーズだな、というような具合で、人が全く乗車しないことには何も思わなかった。
 その日の客の数といつもの客の数を比べても大差はない。
 それでも少し異様な雰囲気を水島が感じ取ったのは、小さな電車が停車していた小さな駅で、時間調整のために止まっていた時のことだった。水島は運転席を空け、外に出てその日三本目の煙草をふかしていた。周囲にまるで関心がなくとも、電車が一時間に一本もやってこなくとも、電車が停車したきり動かないことに水島は非日常を感じていた。
 かといって、水島が非日常を求めているとか、そういうことではない。彼は今の生活に満足しているし、今頃新しい何かやってこられても迷惑だとさえおもっている。
 年齢とともに重くなっていった足を持ち上げ、駅に向かってみることにした。
 「兆司、走らせなくていいのか」
 知り合いの、というよりも一人しかいない駅員の名前を呼び、水島は事態を把握しようと思った。頭の中では兆司が「うるさいよ、静かにしろ」と、田舎の駅の穏やかな喧噪を守るかのように小さく言う姿が浮かんだ。
 しかし、視界に広がるのはただただ木造の、都会の人から見たら風情のある駅舎だけだった。中は全くの無人であり、兆司自体が見当たらない。地面には新聞が無造作に広げられていた。
 テレビも新聞も見ない水島は、改めてその新聞を拾い上げ、中身を確認してみる。日付は一昨日の朝刊であることを示していた。
 「いくら田舎だからって」とだけ声にして後に続く言葉は億劫になり、ここで止めることにした。
 もう一度駅員の名前を呼んでみる。返事をよこすのはアイドリングストップをしている会社のバスだけであった。水島は一度バスに戻り、エンジンを切って再度駅舎に向かった。あと二分とせずにバスの発車予定時刻になるが、水島は長丁場になるとみたのだった。
 辺りを見渡すことから水島はやってみた。用もないくせにベンチに腰かけて疲れたような、満足しているような表情を浮かべているはずの原のばあちゃんはいない。亡くなったのかもと思ったが、それはそれで話題になるはずで、関心がなくとも耳に入ってくるはずだと思い直す。別段耳を傾けていなくとも入ってくる噂という名の情報は、田舎独特のコミュニティーを表しているのかもしれない。
困っていようがいなかろうが人に寄って来ては話しかける兆司もいない。ちなみに水島の大きな声を嫌っているらしい。文句をたれることに一生をかけているかのような道夫もいなければ何を考えているのか分からない坊主たちもいない。
 明らかにいつもと違う。いつもは少ないながらにも人間の姿があるはずだ。
 面倒ながらに水島は探究心をふくらませ、もう少し調べてみることにした。因みにバスは発車してもよい頃合いになっている。
 まず水島は駅のホームに立ってみることにした。改札と呼べるのかはさておき、水島が改札を横切ろうとした際、ザーッという砂嵐のような音を聞いたような気がしたが、水島は年齢のせいにして聞こえなかったふりをした。
 ホームに来てやるべきことは一つに思えた。階段を上り反対側のホームに停車している電車の様子を覗くこと。
 階段を上り反対側のホームに行く途中の廊下で水島はふと町並みを見てみようと思った。
 思ってた以上に寂れて見えたのは、手入れのされていない窓ガラス越しに見たからというだけではなさそうであった。それに、水島が自信を持っている並々ならぬ視力をもってしても人を見つけることはできなかった。
 水島がここから街を見下ろしたのは初めてかもしれない。そんな初めてに気付かずか、それとも焦っていたのか、水島はそそくさと階段を下りて行った。
 電車を見ても誰もいない。もしかしてゆりかもめのように無人で運行しているのではなかろうかと半ば本気で考えたが、頭に先ほどの寂れた町並みが横切ると、それは虚しさしか残さなかった。
 車掌がいなければ客もいない。この町の人口を考えてみるとそれも当たり前のように思えるが、やはり日常と比べるとおかしい。今まさに客をほったらかして駅のホームに降り立っている水島が言うのもなんだが、車掌が電車をほったらかすのはダメだと思う。自責の念も込め、本当にそう思った。
 いくら無人のゆりかもめもどきを眺めていたところで答えは得られないだろう、と水島は帰ろうとするが、悪戯精神を感化され、線路に降り立って向こう側のホームまで行こうと思った。誰かに叱られるようなことに憧れるのは、大人になっても変わらないようだ。
 線路に立つと、昔のアメリカ映画を思い出した。
 ウェンザナイトで始まるその映画の主題歌を口ずさむ。この映画を観たときは既に大人と呼ばれるに値するような年齢になっていたが、あの子供たちのようなやんちゃに憧れていた。
 最初で最後の、水島が口ずさめる外国の歌がスタンドバイミーである。
 曲の終盤にさしかかったところで、自分の歌声が何かによって邪魔されていると気付いた。もしかして誰かがいるのかもしれない。とは思わず、俺の歌声が気に食わないヤツはとっちめてやるといった喧嘩腰で彼はホームによじ登った。意外と高いホームに上る間に、喧嘩腰はぎっくり腰になりかけ、へっぴり腰に変わっていった。
 音源に近づくにつれて、ザーッという音が、気のせいでも幻聴でもないと証明されてしまったのだ。

コメントの威力

 新しいコラムを始めるという提案をした際に、一つのコメントが寄せられた。
 「物語は打ち切りですか」
 こんな内容だった。

 これはもうどこかしら馬鹿にしているように気もするし、続きを読みたがっているようにも見え、判断に困ったものでした。
 が、一番思ったのはそこじゃなくて、物語をやっている、というくらいには見てくれている人間がいるということである。
 おいおいおい、うれしいぜ、おい。
 自分らしからぬ「ぜ」なんて使ってしまうレベルにうれしかった。
 今まで誰一人として見ていないものだと思っていたのです。が、見ている人がいるというだけで、何とまあこんなにも感情を高ぶらせるものか、と。

 ということで、挫けていた物語を書いていこうかなと思い立ったわけです。
 とりあえずは消してしまった旅するアンニュイをもう一度やろうかなと。
 だから、言いたいことはコメントってすごい制度だから何でもいいからやってねってこと。

日本人らしさについて③

m「日本人らしさってのはつまり、外国との比較のわけだ」
w「そうね」
m「…。ポルトガルではね」
w「やっぱりポルトガルじゃねえか。このストーコドッコイ」
m「いや、ポルトガルに限らずその国には、それなりの特徴があるだろう」
w「まさかあなた」
m「土地柄や時代背景。歴史の勉強に意味を見いだせない人もいるようだけど、自分たちの元となる部分、もしくは基盤となったところを学ぶということだと思うんだ」
w「ちょっ、オイ」
m「自己分析の一環として歴史を学ぶのかも知れないね」
w「あんた、無理やり終わらせようと思っているでしょ。関係ない結論をつけて」
m「……うん」
w「待て待て、出番増やそうぜ。何ならもう一回このコラムやろうぜ」
m「お前は女性らしい口調でやりな」
w「終わったらいなくなるのよ、私たち。いらなくなったらポイよ。ということで、酷い扱いを受けた女性の話をしましょう」
m「それは有り得ない選択だろう」
w「私は熱いわ。今なら地球温暖化より先に北極の氷を溶かせるわ」
m「お前、昔何かあったな」
w「……」
m「あ、すまん。別に言わなくてもいいからな」

(そうして長いことワタナベの話を聞かされるマヌエル)
w「省くんかい」
m「省くなら長いこと聞かされた悲惨な俺の描写が欲しいな」
(カットされるような無駄な話を聞かされ、しけった花火のように使い道のなくなったマヌエル)
w「酷いな」
m「俺の描写もな」
w「話させてよ。私の身の上話」
m「訂正してくれ、俺は通常よりも火薬の多い花火だ」
w「それはどうなのよ」
m「え。多ければ多いほどいいって」
w「危ないでしょう。サービスで火薬増やすんじゃないの」
m「危ない?」
w「だから…」
(彼らは無駄な話を続ける、多分ずっと)

人は無駄なことをしたがる
寄り道をしたがる
日本人は真面目とよく言われるが、寄り道の数は少なくない
マヌエルとワタナベもそうだった
喋らなければ自分が消えるというのに、いつの間にか関係ない話を始め、その設定を忘れかけたりもした
途中、マヌエルはこのコラムを終わらせようとした
それはおそらく、恐怖を終わらせようという自分とワタナベへの配慮ゆえだと思う
しかし、ワタナベからしたら終わらせたくなかったようで、嫌がられてしまった
日本人はよく配慮をすると言われる
相手のことを思う
しかし、日本人は自分を伏せるものであり、それが厄介なところでもある
やまとなでしこなど言われるが、マヌエルのその配慮はワタナベにはいらなかった
自分を伏せ、このコラムを終わらせるのがマヌエルなりの配慮であったのに
日本人は配慮がある
しかし時に自分の考えを出さない配慮を選択し、間違えることもある
要は相手の気持ちを考えきれない部分もあるということ
最後のマヌエルとワタナベのように、何も考えずに口論するのが最大の配慮になる場合もある
寄り道も必要だよね、それができるのも日本人がゆえなんじゃないの
そんなコラムでした

マヌエルさん、ワタナベさんお疲れさまでした
別に消えやしませんよ
2人は楽しく生きて行くでしょう
騙してごめんよ


さあ、寄り道の多い、むしろ寄り道しかないコラムでしたが、それも日本人らしさということで
あいにく、私も日本人なんです
まあ、まとめも寄り道が多くて分かりにくいのは考え物ですけどね

では、ごきげんよう
見てくれた方、とても感謝しています
途中物語にしてしまおうかという選択も考えましたがやめました
そんな不安定な企画です
だからコメントとか残してください
切なる願い
これ、本当

日本人らしさについて②

(沈黙のマヌエルとワタナベ)

m「…あ。薄くなってるぞ、お前」
w「え。ああっ、やばい。喋るから喋るから」
m「ふう。とんでもないコラムだな」
w「命懸けよ。一体どうなっているのよ」
m「こんなじゃ聞いてる方も辛いだろう」
おい
早くしろよ
w「ひいっ」
m「(ダメだ。ワタナベは完全にキャラが変わってる)」
w「はははは、始めますよ、ええ、そりゃもう。空駆ける天馬の如く勢いで語らいますわよ」
m「(そして、意味の分からないことを口走る、か。動揺しまくり)仕方ない始めよう」
w「日本人らしさについてってテーマでしたね」
m「そうだね」
w「…あなた、名前は?」
m「え、マヌエルだけど」
w「いや、だけどじゃねえだろ。お前が日本人らしさ語れるか」
m「なんで、語れるでしょ」
w「この南蛮人め、もしくはハーフジャパニーズ。私は生粋のバイリンガルってか」
m「急に口悪いな。何か恨みでもあるのかい」
w「私が日本人らしさを語らせないわ。どうせサムライかやまとなでしこでしょ」
m「俺はクォーターだぞ」
w「あんたのアメフト歴なんて知らないわよ」
m「外国の血は4分の1」
w「そ、そうなの?なら語らえるわ、ごめんなさい」
(クォーターなら喋ってもいいのか。彼女にとっては居住歴よりも血の割合なのか。まあいいや、せっかく始めたし)
w「クォータージャパニーズなのにそんな外国寄りの名前なのね」
m「何が」
w「何がって、マヌエルなんてポルトガル方面のイメージよ」
m「マヌ エルだぞ」
w「いやだからポルトガルじゃないの」
m「馬濡 江流」
w「……。無理やりだな、オイ」
m「だから始めから語れるって言ったじゃないか」
w「長くなったわ、正直何も進んでないじゃないの」
m「始めようぜ」

ピンポンパンポーン
m「ん?」
w「まさか」

終了のお時間となりました

m「嘘だろ!?」(またフェードアウト)

ほーたーるのーひーかーりー

一向に問題に入らない
それが私です
で、納得できますかね

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